Fashionの仕事をしていると、
レザーの製品について、様々な考え方があることを感じます。
今日は、レザーについてお話しできればと思います。
私にとってレザー製品は、生活の一部です。
長く使いたいので
素材や仕立てが良いことはもちろんのこと
デザインはミニマルで、タイムレスでエイジレスなアイテムを
購入するようにしています。
バッグや靴はレザーのものを購入することが多いのは
日々使用するものであり、強度を求めているから。
環境問題に対して目をそらさずに、しっかりと向き合う時代となった今。
動物愛護=動物の命であること。原料が食肉の皮であったとしても、背景にあるストーリーは同じであり。
倫理的な部分で理解することは大変心苦しいものです。
環境保護=生産工程での水質汚染はもちろんのこと。
動物が育つまでの間に、発生する温室効果ガスや、飼料を作る工程での農薬の使用量などなど。
地球環境の問題も多々あります。
これは、レザーのプロダクトに限らず
全ての産業において、あまりにも行き過ぎてしまった結果が今のように感じます。
私が以前訪れたレザー工場では、
綺麗な水に戻して川へ帰すことのできるシステムを独自に導入しておりました。
鞣す工程で、化学的な薬品ではなく、植物を発酵させて鞣すなど
様々な努力と工夫をされている、とても素晴らしい工場でした。
環境に配慮された認証(審査)のもと生まれたレザーも誕生しています。
リサイクルレザーや
数日前にInstagramにPostしたマルベリーのレザーバッグも
LWG(Leather Working Group)という世界有数の厳しい審査の認証を得た工場で
鞣したレザーを使用しています。
それと同時に、ファッション業界では、
フェイクレザー やVEGANレザーと言われるものが、
毎日のように目や耳にするようになりました。
動物愛護の観点から見れば、とても良い流れではあります。
ただ、ファッションやインテリアで市場に出ているフェイクレザーと言われるものの
大半が石油からできたポリウレタン製であるということも忘れてはいけません。
石油製品は、地球に戻らないということで、環境問題の観点では
とても問題視されています。
最近では、ビニール袋の削減や、ペットボトルを使用しないなどの関心が高まっている一方での
フェイクレザーの需要は
私にとっては、少し違和感を感じる部分でもあります。
日本では、ゴミの焼却技術が進んでおり、有害物質を出さない焼却が可能となり。
(昨年渋谷区のゴミ処理場を見学をさせていただきました。)
通常ゴミとしても安心して出すことが。
しかし、まだまだ設備が整っていなかったり
発展途上の国になどに行くと、
20年前の日本のように、河原で生活ゴミを燃やしたり、
焼却炉の設備が十分でなかったり。。。
昨年、インドに行った際は、やはり、煙が立つところの近くを通ると
ビニールやプラスチックが焼ける匂いを感じました。。。。
何かの代替えという言葉は
ある一つの観点からみると、クリアしているけど
デメリットがあることも知っていなければいけません。
しっかりと両方から見ること。
そして、自分自身の答えを導くことが
とても大切なことなのではないかと思います。
そんな中、
私は待ちに待ったフェイクレザーに出会うことができました。
ニュースでは見ていたのですが、サボテンから作られたレザーが遂に日本でも発売されます。
このバッグは、表面はサボテン、内側はコットンで作られているので
完全な植物性のレザーです。
ずっとフェイクレザー という言葉に疑問を抱いていた私にとって
Natural Vegan Leatherは、素材を選ぶ上で。もう一つの答えとなるのではないかと思います。
写真のThe M (ミチエ)
というブランドは、バッグメーカーさんが作っているプライベートブランドなのですが、
メキシコから輸入をし、このバッグが誕生しました。
来年の春から、発売が決定しております。
※来週展示会なので、
もし、セレクトショップや、百貨店のバイヤーさんなど読まれている方いましたら
ナチュラルビーガンレザー ぜひ注目してみてください!!
と、色々とお話してみましたが。
スタイリストとして感じることは。
結局。
フェイク=似せてまで、そのものが必要なのか?ということへ疑問が流れていきます。
レザーとポリウレタンは
全く違う機能と特性があります。
長く洋服に携わると、美しいものは、
機能と共にデザインがある。
そんな風に感じます。
レザー製品とは、古来から愛されてきた
先人の知恵によって作られた素材です。
本来であれば、動物の皮は、命が終わったその瞬間から微生物分解が始まり
朽ちていきますが、
先人たちは、鞣すという工程を経て
皮から革へと変化する技術を編み出しました。
そして、その革は
とても丈夫で、耐久性もあり、長く使うことで
馴染み、艶が出たり、硬く締まったり、柔らかくフィットしたり。。
様々な機能を持っています。
地球に還るときにも、自然のものなので、負荷はかかりません。
ただ、動物の命であるということを決して忘れることなく。
長く使用するもの以外のものは、購入しない。という選択をオススメしたいです。
そして、ポリウレタンで作られたフェイクレザーは、
防寒性や防水に強い性質があります。
とても軽く、加工もしやすい機能を持っています。
水分に弱い性質もあり、使わないでしまっていると劣化してしまったり、
使用していても耐久性は弱く、4-6年で劣化してしまうとも言われています。
石油製品なので、
使い終わった後、地球にどのように還すか考えてみることが大事だと思います。
また、本当に必要なものか否か、
購入する際に一度考えることを、オススメいたします。
自分の生活と素材を繋ぐ。
その意識と 選択がとても大切なのではないかと思うのです。
たった一つの地球の中で私たちは様々な動植物と共に生きています。
生きるために、人も動物たちも植物を食べており
生きるために、様々な道具を考えてきました。
身の回りにあるものが便利であることはもちろん良いことです
でも、あまりにも多くの情報が溢れ過ぎて
本質的な美しさや機能美を忘れていないかな?と時々感じることがあります。
2020年。
そのものが、何から生まれて。どのように作られ。
あなたの元へ届いたのか。
そして、あなたはどのようにして、地球にそのものを還すことができるのか。
そんなことを考えてみるタイミングなのではないかと思います。
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